省エネ計算
- 2023年6月9日
普段は外注としていた省エネ計算だが、2025年の省エネ基準適合義務化に向けてのウォームアップとして自身で計算を行い、備忘録としてまとめる。
今回はフラット35Sの金利Aプランのための省エネ計算という事で目標は断熱等級5(6地域ではUA値=0.60W/㎡K以下)、一次エネルギー消費量等級6(BEI=0.8以下)となる。 ※BEIとは設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量で算出され、0.8は設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量よりも20%削減できている事を示している。
計算内容については、ほとんどがプログラムに規定値を入力するのみで問題ないがいくつか悩んだ事について。
・熱橋面積比
断熱材部分と木部分の幅を計算して求めるものかと思ったが、その場合は別で計算根拠を示す必要があり一手間かかる。木造在来の場合の参考値が規定されているのでその数値を用いるのが一般的らしい。
・基礎壁と土間床を一体として算定する旧計算法と基礎壁と土間床を別個で算定する新計算法
旧計算法に関してはすでにプログラムが確立されていて規定値を入力すればU値は計算される。新計算法の基礎壁については、屋根/壁のU値算定と同様、部位U値計算シートに、材料の熱伝導率等を入力することよって算出できるが、土間床については現時点ではまだプログラムが認可されていないため、「定常二次元伝熱計算による土間床等の外周部の基礎の線熱貫流率の算定方法」内の参考例(ベタ基礎の内断熱-表6aか布基礎の外断熱-表7aの場合のみ)の数値を用いる。新旧どちらも試してみたが、旧計算法の方が概ね有利な計算結果となるため現状は旧計算法を使用することになりそう。
・透湿抵抗比
今回採用したアクリアマットαは防湿フィルムがJIS基準に適合していないため、採用するにはJIS適合の防湿フィルムを追い張りするか、透湿抵抗比を算出する必要がある。透湿抵抗比は外気と内気の透湿抵抗の比率で数値が大きくなるほど内気側は湿度が通しにくく、外気側は湿度を発散しやすい構造という事になり、算出方法は断熱材周囲の透湿抵抗をプログラムに入力し一定数以上で。
・外皮面積の算定基準
壁は壁芯、天井断熱の場合はCH、屋根断熱の場合は断熱材下端、床はFL。
・地域区分表記
以前はローマ数字表記だったが、現在はアラビア数字表記に変更、統一されているらしい。
上記により外皮平均熱貫流率(Ua)と外皮面積を求めたら、エネルギー消費性能計算プログラムを使用してBEIを算出する。これに関しては特に悩むことは無かった。
結果、今回の仕様では6地域の場合、Ua値=0.43W/㎡K(断熱等級6)、BEI=0.67となった。
この仕様であれば4地域でも断熱等級5、BEI=0.8となりフラット35Sの金利Aプランに対応可能となる。